更新できなかったため、申し訳なすぎるから、わたくしの短編小説を載せて、お茶を濁そうと思います。

2019年05月07日

更新できなかったため、申し訳なすぎるから、わたくしの短編小説を載せて、お茶を濁そうと思います。

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【2019-05-14執筆。】


こんにちは。わたくしです。

実のところ、5/7,5/9,5/10,5/13の記事が抜けていたため、今さらながら、穴埋め更新!
ごめんなさい!


題して、


更新できなかったため、申し訳なすぎるから、わたくしの短編小説を載せて、お茶を濁そうと思います。





よろしくおねがいします!




絆① きっかけ



 巧(たく)は家の前で足をとめた。妹の姿に気づいたからだ。小夜(さよ)は男と抱き合っていた。唇が重なる。躰(からだ)が熱くなる。怒りの為か判然としなかつた。


 遠回りをして家に帰ると、小夜はもう何食わぬ貌(かお)でホットミルクを飲んでいた。
「おかえり、お兄ちゃん。」
「ん、ただいま。」
 つい、拓は妹の唇を眺めてしまう。先程、目撃したキスを思い出してしまうのだ。
 さくらんぼのような唇は艶やかで色つきのリップを使っているわけでもないだろうが、ピンクをしている。ホットミルクの所為(せい)か濡れたように見える。
 小夜は色素が薄い。栗色の髪。栗色の眸(ひとみ)。きめの細かい肌は驚くほど白い。小造りな貌(かお)を囲むように栗色のショートカットの髪がかかっている。大きな眸(ひとみ)はくるくるとよく動く。小柄で華奢な体躯だが、手足が細いためか驚くほど伸びやかに見える。
「お兄ちゃん、明日、『死霊の餞(はなむけ)』を観に行かない?」
 『死霊の餞』はハリウッドが挑戦した本格ホラーだ。小夜は映画に目がない。特にホラー映画を偏愛していた。
 明日は土曜日なのだ。しかし、拓は彼女と映画に行く約束をしていた。彼女が観たがったのは小夜と違い、まっとうな純愛ものだった。
「明日は用事があるんだ。『ニューヨーク・ラバーズ』を観に行く。」
 拓は云った。
「桜さんと?」
 桜と云うのは拓の彼女であった。
「小夜には関係ないだろ。」
 拓は、冷たく云い放った。小夜の頬に朱がさす。
「わたし、見たんだから。お兄ちゃんと桜さんがキスしてるとこ。」
 拓もカッとする。先程、目撃した光景が甦る。
「小夜こそ、先刻(さっき)の男と行けばいいだろ?」
「先刻(さっき)の男?」
 小夜の眸(ひとみ)が揺れる。
「キスしてただろ?」
 拓は烈しい調子で小夜を詰(なじ)った。小夜は拓の貌(かお)色を窺っている。
「どうして、お兄ちゃんが怒るの?」
「別に怒ってないさ。」
「ぢゃあ、どう思った? 変な気分になった?」
「莫迦(ばか)。」
 拓は内心、動揺しながら、表面上は冷静に云った。
「妬けた?」
 小夜が上目遣いに見上げてくる。その思いがけない色香に拓はどきりとした。
「まさか。」
 またもや内心の動揺を押し隠して、拓は云った。
「つまんないの。」
「なにがだ。」
「わたしはお兄ちゃんと桜さんがキスしてるのを見たから、先輩に頼んだんだからね。小夜もキスしたいなって思って。キスってどんな感じなのかなって思って。」
 拓は、怒りを覚えた。
「何だよ、それ。自分を安売りするなよ。」
「ぢゃあ、お兄ちゃんがキスしてよ。」
 売り言葉に買い言葉である。拓は、意地悪い気持ちになっていた。
「知らないからな。」
 云うと、拓は小夜の唇を塞いだ。
 勢いに任せて、烈しいキスをする。舌を差し入れ、口中を貪(ねぶ)る。舌を絡めとって、強く吸った。
「はあ。」
 やっとのことで解放してやると、小夜が甘い吐息を漏らした。
 心なしか眸(ひとみ)が潤んでいる。途端に、拓は後悔した。
「ごめん。でも、小夜が悪いんだ。」
 キスが思いの外、気持ちよかったことに狼狽しながら、拓は謝った。
「謝らないで、お兄ちゃん。小夜が悪いんだし、厭(いや)ぢゃなかった。寧(むし)ろ、小夜はお兄ちゃんとこう云うことしたかったの。」
 拓は驚いて、しげしげと小夜の貌(かお)を眺めた。
「小夜?」
「先輩とキスしても、何にも感じなかった。小夜がキスしたかったのは、お兄ちゃんだから。お兄ちゃんとのキスはどんな感じかなって思ってた。」
「小夜、」
 拓は混乱した。
 小夜は微笑む。
「知らなかったでしょ? 小夜はお兄ちゃんが好きなんだよ。」
 小夜の眸(ひとみ)はまっすぐに拓を見つめてくる。

 眸を逸らしちゃ以可(いけ)ない。拓は、自分にそう、云い聞かせた。



……気が向いたら、つづきます。

posted by わたくし at 17:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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